下の写真はどちらもミュンシュ&パリ管弦楽団による幻想交響曲のCDであるが、右側はお馴染みの旧EMIや現在のワーナーレーベルによるものではなく、Grand Slamという音楽評論家の平林直哉氏が主宰するレーベルによるもので、つい先日に新宿のタワーレコードで入手したものだ。著作権の切れた市販のオープンリールテープを入手して余計な手を加えずにCD化しているそうで、その音質は無線と実験誌のソフト紹介欄などでも以前から高く評価されている。
私は東芝EMIレーベル時代のart処理されたCD、ハイレゾ(24bit96kHz)及び「マニアを追い越せ大作戦」という第一家電製の国産45回転LP(2枚組)を持っていたが、LPとEMIのCDは引っ越しの際に処分したので手元にない。ハイレゾバージョンを聴いたらもう必要なくなってしまったからだ。ちなみに旧盤CDは情けない音だ。
今回、敢えて市販オープンテープから起こしたという音がどんなもんかと興味本位に買ってみたのであるけれど、これが同じ音源か?と思えるほどにハイレゾとは全くの別物であることに驚かされた。ハイレゾの方はオリジナルマスター音源をデジタル化してから種々の修復、調整が施されていると聞く。一方のGrand Slamバージョンは最良の状態のテープを見つけて手を加えていないにしても、マスターに対しては孫位になっているものと想像できる。両者について、この場でその特徴を述べることは控えるが、どちらが良いというのではなくて、これ程にソフトの制作過程の違いで音が変わってしまうとなると、オリジナルマスターって、デジタルって何なのだろうと考えてしまう。興味ある方はGrand Slamの種々のCDを聴いてみて頂きたい。フルベン、トスカニーニ、ワルターの名演揃いであるので。また昔のEMIのLPをお持ちの方は、ゴロゴロした分厚い地味で厚みがある低音を満喫しているのではないだろうか。
写真左のCDはAltusレーベルのライブで、収録されたのはセッション録音の1か月後。第5楽章の演奏時間が、セッション9:46、ライブ8:51と爆演である。演奏そのものについても、こんなに違うのか~と驚いた。