なべさんの真空管オーディオ

自作真空管アンプを中心としたオーディオのブログ

300Bを聞き比べたら

我が家に300Bが4種類集まってしまったので、差換えて聞き比べてみることにした。

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300B

写真は左から①スベトラーナ(ロシア)、②KR(チェコ)、③JJエレクトリック(スロバキア)、④ウエスタンエレクトリックの2021年製(アメリカ)。

ディスクの差し替えが面倒なのでDELAを使いハイレゾで以下の3曲を聴いてみた。

・SHANTI 「Born to Sing」

大植英次ミネソタ管 「Exotic Dances from Opera

美空ひばり 「ひばりジャズを歌う」

美空さんは古いコロンビア360度ステレオ録音で、優秀録音とは言い難いところがあるものの、音が荒れた部分がどう聴こえるのかに注目した。

アンプは6U8Aをドライバーとし、5極部で一発増幅、それに直結した三極部はコンデンサ結合のカソードフォロワーになっており約4.5Wの出力である。すべてのヒーターは三端子レギュレーターによる定電圧化でとても静かである。

①スベトラーナ

ちょっと聴くとメリハリがあり、この押し出しの良さに惑わされそうだ。しかしドライぎみで、サ行が目立つ感じ。中級システム以下で使うのに向いているかもしれない。ドラムの押しが強く、解像度は高い。そのあたりが特徴。ガラスの形状はオリジナルに近い。

②KR

JJと似ており、ガラスが厚くてしっかりした構造になっている。ボーカルが浮き立つし、JJのようなソフトなダンピング感であるけれどもドラムの量感はもっと大きく強い。一見地味の様だがどれも破綻なく聴かせてくれる優等生型。プレート損失はオリジナルよりでかい。

③JJ

スベトラーナに比べるとソフトダンピングのようだ。幾分優雅に聞こえるものの、押しつけがましくなく全てにおいて中庸というところか。もう少し個性が欲しいようだが、あとは使いこなし。なおガラスがとても厚く電極の作りもしっかりしている。ソケット部は陶器で出来ていて持ってみると重い。KRとJJはプレート損失がオリジナルより大きいので、シングルであっても更に大出力を狙った回路とするのが良さそうだ。

④ウエスタンエレクトリック

明るく明快な音であるもののサ行の誇張感などは特になく、ボーカルに独特な張りがあるが決して押しつけがましくならない。それでいて低域のパワーも十分感じられる。本家本元の音とはこういうものだったのか?この球は普通に昔からの真空管らしい造りであり、ガラスは薄そうだし、持ってみた感じも軽い。ガラスの形は、とてもスマートで真空管らしい格好の良さを感じる。

 

今回初めて聴き比べをしたが4本とも大きく目立つ欠点は無く、どれでも使用に耐えそうだ。未知数なのはヒーターの断線など耐久性であろう。いずれにしても、もっと大型の出力トランスで、もう一度300Bアンプを作ってみたいものだ。

追記

価格の話は、あまりしくはないものだが、ウエスタンの半分の値段がKR、そのまた半分程度がJJ(10年ほど前の購入時)。ロシア製はJJの2/3程度だったと思う。CPを考えれば、私はJJが最も満足いくものであると思うし、回路如何により、もっとHiーFiで癖のないアンプが出来ると思う。